日本海と出羽三山に育まれた庄内藩の城下町・鶴岡。自然の恵みと歴史文化が今も静かに息づく人とまち。

「鶴岡では、“食べる”ことの話題で何だか一年中とても忙しい毎日を送っていると思っている人が少なくない。」と笑顔で

旅先で思いがけなく美味しいものに出会う喜びは、心に残る旅の醍醐味です。

鶴岡は海と山に囲まれ、はっきりとした四季が巡り、それぞれの季節ごとの食材のバリエーションがとても豊富。日本海の魚介類、雪解け水に育まれた水田・農園・牧場からは、おいしいお米・野菜やフルーツ・肉・そして日本酒・ワインなどに恵まれる休みのない一年です。人々の食への姿勢には、歴史に根づいた郷土料理や出羽三山に伝わる「精進料理」まで、自然の恵みと伝統文化への敬意が息づいているようです。2014年12月には日本で初めて「ユネスコ食文化創造都市」にも認定されています。

「季節ごとに旬の美味しい食材が追いかけてくる感じなんです。」との地元の声。

春には「口細カレイ」「サクラマス」、夏には「岩ガキ」、秋には「ハタハタ」、冬の「寒ダラ」が続きます。

5月は筍の「孟宗汁」「月山筍」ほか山菜の数々、夏は庄内砂丘で採れる「庄内砂丘メロン」「さくらんぼ」。8月からは「だだちゃ豆」「ブドウ」がシーズン、秋以降は「刈屋梨」「西洋梨(ラ・フランス)」「庄内柿」そして「芋煮汁」の季節。ブドウ、ナシは収穫体験も楽しめます。

気をゆるめる暇もないほど楽しくも美味しい毎日です。どの季節に訪れても何かお気に入りものに出会えるはず。庄内人が密かに思う自慢です。


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出羽三山を巡る旅は「生まれかわりの旅」(2016年日本遺産認定)と言われ、パワースポットとして多くの人がいまも訪れます

出羽三山とは、月山・羽黒山・湯殿山の総称です。東北随一の霊場と言われる三山がそれぞれ「過去」「現在」「未来」の世を表す山として、日本古来の自然信仰と仏教が混じり合って生まれた山岳信仰がいまも日常に息づいています。深山幽谷に包まれた霊地として多くの人がいまも訪れています。自然の中に身を置いて森羅万象を受け入れ、「多くを語るより黙々と歩く」ことで心身の浄化を感じるという山伏体験も人気。出羽三山の表玄関でもある羽黒町には、修験者や参拝客、登山者向けの数多くの民宿や宿坊があり、普段とは違う宿泊スタイルで手作りの精進料理を味わいながら、心身を清らかにすることも貴重な体験です。

年の瀬には羽黒山伏たちがホラ貝を吹きながら庄内一円を清めて廻ります。

山伏が訪れた家では、家内安全・無病息災を願って御札をいただく習いです。

庄内平野から望む峰々の四季の彩は、古の伝統とともに美しい日本の風景を私たちの記憶に留めてくれるでしょう。


樹齢1000年と言われる羽黒山中最大の老杉「爺杉(じじすぎ)」、「国宝・五重塔」を仰いで2446段の石段に挑戦

鶴岡の中心市街地から車で20分、月山・羽黒山・湯殿山の三神を祀る羽黒山の山頂を目指します。「隋神門」からスタートし、「爺杉」を仰ぎ見て、その先古木の中に静かに佇むのは、東北地方最古といわれる「五重塔」です。平将門の創建と伝えられる長く伸びやかな軒は、飛び立つ白鳥の翼のように美しく、四季折々にその姿は優美そのもの。

表参道は、両側に樹齢350〜500年の杉並木で全長1.7km、2446段の長い石段が続きます。(ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三ツ星に認定されました)。開山以来の1400年の時間に浸りながら、参道の一段一段にこころが洗われます。随所にパワースポットも点在し、楽しい発見もあります。

一の坂、そして最も急な二の坂を過ぎ、最後の三の坂を登りきれば、山頂間近の左手に「斎館(さいかん)」があります。元禄年間に再建された「斎館」(羽黒山参籠所)では精進料理と庄内平野を見下ろす雄大な景色が楽しめます。山伏が住んだ遺構として唯一いまに残る建造物で宿泊も可能。

そして山頂には東北随一の萱葺屋根・本殿「三神合祭殿」と「鐘楼」「大鐘」が位置し、その堂々とした佇まいはいずれも国の重要文化財に指定されています。清らかな空気に包まれ、生命を若々しく甦らせるこころと体の旅の体験となるでしょう。

時間と体力に合わせて、山頂へ直接クルマで目指せるコースも選べます。

「斎館」入口へのアプローチ / Photo by YouLive 編集部
古より伝わる山の恵みで育まれた「精進料理」/ Photo by YouLive 編集部

本殿前の「御手洗池」は古くから羽黒神が姿を現す池として「鏡池」と呼ばれ、神聖な御池として信仰を集めてきました。一年を通して水位が変わらないと言われる不思議も。願いを込めた神鏡を沈めたこの池からは平安・鎌倉・江戸時代の銅鏡600面が出土しています。神秘に満ちた雰囲気で遠い先人の心が伝わる思いです。

堂々とした佇まいで参拝者を迎える、国指定重要文化財の「鐘楼」と「大鐘」/ Photo by YouLive 編集部

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荘内藩十四万石の城下町の面影を残す鶴岡。市街地の中心、鶴ヶ岡城趾は旧濠と老杉が風格を醸しだす鶴岡公園として多くの市民が集う

4月中旬には700本の桜が見事に咲き誇り(日本さくら名所100選)、遠方からの来鶴者も多く、雪国の短い春を心から楽しみます。園内には「藤沢周平記念館」も併設、お堀を挟んで「致道博物館」、旧藩校「致道館」に加え、独創的な外観で目を惹く「鶴岡市文化会館(荘銀タクト鶴岡・コンサートホール)」など、時空を超えたワンダーエリアが広がり散策を楽しめます。

旧西田川郡役所を背景に鶴岡公園の桜
旧西田川郡役所を背景に鶴岡公園の雪化粧

擬洋風建築が目じるし。
国宝を含む歴史的にも貴重なお宝がいっぱい、致道博物館

もとは荘内藩の御用屋敷であり、幕末には藩主の御隠居だった建物が博物館として公開されました。旧庄内藩主酒井家歴代の歴史と共に、庄内地方の豊富な文化財を展示しています。敷地内に移築された旧西田川郡役所と旧鶴岡警察署庁舎は、いずれも鶴岡の名棟梁・高橋兼吉らによる明治期の擬洋風建築で歴史的・文化的雰囲気を醸し出しています。旧警察署はルネサンス風の装飾が印象的で5ヶ年にわたる大規模な修復工事が行われ、空に映える水色の外壁で創建当初の姿が蘇りました。このバルコニーから望む景色は、天気の良い日には透き通った空気の向こうに庄内の山々が輝いています。

また、博物館の一部として公開されている、酒井氏屋敷に造られた庭園は築山・林・茶室などを有機的に配置した典型的な書院庭園で、四季それぞれに目を楽しませてくれます。国指定名勝にも指定されています。

本館は2016年開催の当館所蔵「短刀 銘 吉光 名物 信濃藤四郎」の展示ではアニメとのコラボレーションにより全国から刀剣女子のファンが殺到、開館以来の賑わいが話題となりました。

酒井氏屋敷に造られた典型的な書院庭園。四季ごとそれぞれに美しい / Photo by YouLive 編集部

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刀を鍬に替え、月山山麗の原生林の開墾を成し遂げた武士の魂として語り継がれる「松ヶ岡開墾場」

純白で上品な輝きとしなやかな手触りをもつ良質なシルクとして貴重な輸出品として貢献した、日本最北端の「松ヶ岡シルク」。

戊辰戦争(明治5年/1871)で降伏した旧荘内藩士約3000人が、刀を鍬に替え原生林を切り開き58日という短期間で約100ヘクタールの開墾を成し遂げたとして語り継がれる「松ヶ岡」。その後もさらに桑園を311ヘクタールに広げ、大蚕室10棟を建設して養蚕事業を開始しました。いまも5棟の大蚕室が当初の形を留め、一部の蚕室では開墾の歴史を伝える資料を展示しています(4月上旬〜11月中旬期間限定)。春には桜の並木が訪問者を楽しませます。当時の一面に広がる広大な桑畑と威容を誇る蚕室群の見事な風景が想像を廻ります。蚕種から絹織物の製品化まで一貫した工程が一つの街に集約された稀なケースとして絹産地「鶴岡」が誕生しました。その伝統が生き続け、可能性に挑戦した「サムライゆかりのシルク(kibiso)」も誕生し、新しいコンセプトで世界に発信しています。大蚕室内にはショップも開設。

さらに、大蚕室の隣接地にはブドウ栽培とワイナリーが新しく生まれ、鶴岡オリジナルワインと地産のグルメが楽しめるのも間近かのようです。


庄内発の「日本ワイン」の歴史の始まりです。 ピノ・コッリーナ ファームガーデン&ワイナリー松ヶ岡

2017年よりワイン用ブドウの栽培を始め、2020年秋に醸造所が完成、2021年になって初めてのワインを出荷する。イタリア語でピノは「松」、コッリーナは「岡」の意。150年前に旧庄内藩士たちが開墾し絹産業を興した歴史への敬意を込め、庄内発の「日本ワイン」の生産がスタートした。イタリア・ピエモンテに訪れたオーナーが、アルプスをバックにブドウ畑が広がるランゲの丘を眺め「似ている。松ケ岡にブドウを植えたい」と思ったという。

自然の力に逆らわない「ヴァン・ナチュール」(仏語:自然派ワイン)を目指し、ブドウはなるべく農薬などを使わずに地元の風土に合った栽培法で育てると言う。

レストランでは、料理研究家・辰巳芳子さん監修の地元食材を使った創作フレンチが提供されます。春になればテラス席で月山とブドウ畑を眺めながらの飲食も楽しめる。無添加のプリンにワインのジュレを重ね、まろやかで濃厚な大人のプリン、ぶどうジュースも美味しい。

2021年は白2種(シャルドネ、ソービニオン・ブラン)、赤2種(メルロー、ピノ・ノワール)などのブドウを収穫し仕込む。新しいワインの誕生が待ち遠しい。

レストランの内観/ Photo by YouLive 編集部

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直径5メートルの円形の水槽を泳ぐミズクラゲの姿にこころ癒される

ミズクラゲ約2000匹がゆらゆらと泳ぐ姿を見上げれば、水中に引き込まれて無重力のような感覚に、得も言われぬ安らぎを感じてしまう。

常時50種類以上のクラゲを展示し、クラゲの飼育から始まり様々な種類のクラゲの生態など世界一のバリエーションを誇るのがこのクラゲドリーム館です。色とりどりに煌き、ゆらめくように運動するクラゲの世界へあなたもぜひ一度。発見と感動で見飽きることがありません。

直径5メートルの円形の水槽「クラゲドリームシアター」エリアでは、定期的に行われているジャズコンサートや、ウェディングフォトのロケ地として人気のスポットです。館内でのアシカショーや、風に乗って近づいてくる海猫が手から餌をついばむ餌付も楽しい経験。かわいいアザラシ、ペンギン、ラッコのいるプールには子供たちも大喜びです。 日本海に面した館内レストラン「魚匠ダイニング沖海月(おきみづき)」では、珍しいクラゲメニューが揃う。クラゲ刺身、クラゲラーメンやクラゲアイスが大人気です。入館者限定の最新グッズ「雨空を泳ぐクラゲの傘」も話題に。

直径5メートルの円形の水槽「クラゲドリームシアター」前でのコンサート / Photo by YouLive 編集部

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